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資金繰りに窮する会社の特徴

財務管理という観点から資金繰りに窮する会社の特徴を考えてみましょう。

自社の財務状況を把握できていない

「財務状況の把握」には3つの段階があります。資金繰り、財務会計、管理会計の3つです。資金繰りは文字通り資金ショートさせないためのおカネのやりくりです。財務会計は日々の取引を記録し、決算書にまとめる業務。管理会計は部店別の損益管理や固定費・利益率の管理など経営管理のための会計業務です。

「自社の財務状況を把握できていない」にもこれに呼応して3段階あります。
まず、財務会計まではできているが、管理会計ができていない会社です。「どんぶんり勘定」のため、どこに問題があるのか把握できず、経営悪化への対応が遅れることになります。
次に、財務会計もままならない会社です。損益を把握できず、決算書や試算表がすぐに上がらないため、借入の申し込みなどへの対応が遅れたりします。               
さらには、資金繰りも十分にできていない会社もあります。資金繰り対応には時間がかかります。その意味で、資金繰りは最低でも3ヶ月先まで組んでおく必要があります。ところが、中には当月分の資金繰りしか組んでいない会社もあり、その結果、資金不足を予測できず、対策を打たないまま当月になって慌てる事態に直面することになります。

「銀行の返済をしなかったら今後の資金調達に支障が出て、事業継続ができなくなるから」といった答えが返ってきます。借入返済するために資金ショートになるならまったくの本末転倒です。でも、実際問題として多くの経営者はそれほど銀行を怖がっています。今、どういった会社が資金繰りに窮し、そして倒産の憂き目に会っているかと言えば、銀行の言うとおりにせっせと借入を返している会社です。返済能力(営業キャッシュフロー)を超えて借金を返すことで資金繰りが苦しくなっているのです。不況で返済能力が落ちているのも事実でしょう。しかし、そもそも当初の契約自体(返済スケジュールの約定)がおかしいのです。中には、設備投資資金なのに期間1年の転がし融資になっている例だってあります。これは極端にしても、折り返し融資なしには到底約定弁済できないような契約になっているのです。

では、どう対応するのか。まずは証書貸付なら約定弁済をする一方、借入残高を維持すべく新規の借入を申し込み、実質的な返済額を調整することです。               

次に、それが難しいなら既存の借入返済についてリスケ(リスケジュール)の交渉をすることです。リスケとは、返済能力に合わせて返済スケジュールを見直すことです。返済期間を長くして、月々の返済額を現実的な負担額に減らすものです。リスケ交渉というと、それだけで銀行から経営不振企業と思われるのではと恐れてしまう経営者は多いものです。たしかにデリケートな面はあります(その意味で、第一義的には約弁と残高復元という穏やかなアプローチをするべきです)。            

しかし、そもそもの契約がおかしいのであればそれを是正するのは当然のことであり、逆に言えば、リスケしないかぎり資金繰りが詰まってしまうという現実を冷静に見つめるべきです。事業計画を前向きに説明して、あるべき返済計画に引き直す必要があります。(あくまで「前向き」な交渉をして下さい。単に「困ってるので助けてくれ」といった抽象的で後ろ向きな説明では逆効果になりますので、くれぐれも注意して下さい。また、銀行の横暴に対しては弁護士を通して対応して下さい。感情にまかせて任せてケンカをすると倒産への道を突き進むようなものです。)

とにかく銀行はこちらから言わないかぎり何もしてくれません。通常の借入交渉だってそのはずです。中には金利交渉もせずに銀行の言い値で条件が決まってしまう会社もありますが、銀行としては交渉を織り込んで高めの金利を提示していることを理解すべきです。決して銀行の言いなりにならず、自分の身は自分で守るという危機管理の意識をもって銀行と対等に接する心がけることが重要だと思います。    

資金繰りに詰まってしまったという会社のケースで、残念なことがあります。「顧問の会計事務所に状況を説明しているか」ということです。確認すると、説明していないとの答えが返ってくることがあります。会計事務所は何をしているのかと思うことと同時に、何故、会計事務所に相談することすらしていないのかということも疑問に思います。   
お客様と会計事務所の間の関係が悪循環に陥っているようにも感じます。どういった悪循環かというと、まずお客様(経営者)側に、 @ 財務管理に対する認識が薄い ⇒ A 会計事務所は記帳代行や税務申告など事務仕事だけやってくれればいい ⇒ B だから報酬は安くしたいという考えがあり、その結果、会計事務所サイドとしても、C 報酬からして職員クラスでの事務対応くらい しかできないということになり、それがお客様側に、
D たまに経営的なことでアドバイスを欲しいと 思うことがあっても担当者レベルでは話にな らないという経験にはね返り、会計事務所への期待値が低い水準で固定されてしまう、といったようなものです。

では、どうすればいいか?まず、経営危機に陥ったら「所長先生」を引っ張り出すことです。職員クラスで危機対応はできません。会計事務所だって顧客が減るのは困りますから、何らかの対応はしてくれるはずです。いくらなんでもハナからアテにならないと諦めてしまうのは早計です。

また、当然ですが報酬とサービス水準はリンクするものです。財務面でのサービスを期待するなら、事務作業のケースより報酬は高くならざるを得ないでしょう。顧問報酬は保険料的な意味合いを含んでいます。保険をかけず、自らリスクに対処するというのも1つの経営判断でしょうし、保険料を払ってリスク管理を図るのも経営判断といえるでしょう。


 
   
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